クマ坊の日記

人材育成とビジネスとサッカーが中心のブログです

【マネジメント】管理職は勇者に似ている

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私の生業は企業の人材育成を支援することです。イメージしやすいのは、管理職や新入社員の研修等です。今日は私の1番本業である管理職育成についてねお話です。

管理職無理ゲー

管理職の役割は、部門の業績達成です。そのために人と仕事の両面をマネジメントすることが求められます。これは今も昔も変わらない本質です。

しかし、現代ねマネジメントはより高度化、複雑化しています。人手不足、多様な価値観を持つメンバー、雇用形態もバラバラ、働かないおじさん、何を考えてるか分からないz世代、不適切な発言や残業が許されないホワイトな職場、既存のビジネスだけでなく新たなイノベーションも経営から期待される、競争の激化、業務の多忙化、職場のDXへの対応、部下育成、人事評価。。。ざっと書いただけでも、恐るべきタスク量です。

ロールプレイングゲームに例えると、いきなりレベル1の勇者が、レベル50のダンジョンに放り込まれるようなものです。無理ゲーですよね。でも、仕事だから都合のよいレベルのダンジョンはないわけで。。。

 

いきなり勇者

管理職に突然任命されることも、状況をより複雑にしています。村でちょっと狩が上手かった村人を見つけて、「あなた明日から勇者(管理職)だから、よろしく!」と言われたようなものです。そして勝手にパーティーを組まされる始末です。昔は凄い戦士であったがモチベーションが落ちている戦士、凄い魔術を使えるが気まぐれな魔術師。。。しかも、このパーティーは毎年入れ替わります。やっと戦力になった、気心がしれたと思ったら引き抜かれます。また、うまく冒険できていると思ったら、いきなり若手がパーティーから抜けていったり。。。

 

冒頭の目的も必要

様々なメンバーを率いて、管理職は冒険に出る訳ですが、「何故、冒険に出るのか?」「魔王はどこにいるのか?」も勇者である管理職が考えなくてはいけません。昭和とは決定的に異なる点です。昭和の管理職は勇者ではなくて、軍曹だったように思います。男だけの兵士、同じ武器を渡され、敵も明確だった。戦いは激しくハードワーク、残業もあたり前。同じ管理職でも、参加している競技は全く異なっているように見えます。

現代の管理職は勇者であり、無理ゲーで孤軍奮闘しているのだと感じます。

【マネジメント】本能型か知略型か

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私はマンガもよく読みます。好きなマンガの一つにキングダムがあります。キングダムは中国の春秋戦国時代が舞台です。当然、作中には多くのキャラクターが登場します。その中でも、個性豊かな将軍が持ち味を発揮して合戦を繰り広げる場面は、作品中の見せ場でもあります。今日はキングダムで描かれる将軍を見ながら、現代のマネージャーについて考えてみたいと思います。

 

知略型と本能型

キングダムの中では、将軍を知略型と本能型に分類しています。知略型とは文字通り知略を駆使して敵を倒していきます。その特徴は冷静に論理的に戦略を組み立て実行していきます。現代のマネージャーで言えばコンサルタント思考に長けた切れ者マネジャーでしょうか。一方、本能型の特徴は経験と勘で突き進みます。現代で言えば現場で叩き上げのマネージャーでしょうか。

作品の中では、両方を使いこなすキャラクターもいますが、稀な存在です。現代のビジネスにおいても両方をバランスよく持っている人は、ごく僅かです。いつの時代も両方を併せ持つ人は貴重です。

平時に強い知略型

通常、社内で評価が高いのは知略型のマネージャーです。冷静に理論立って戦略が描けるということは、周囲も理解しやすいということです。周囲が理解して動いてくれれば成果が出せる可能性も高まります。一方、本能型は経験と勘ですから周囲からすると理解しづらいです。最も近しい距離感にいる人は、その経験と勘の凄さを身をもって理解しているので、熱烈な支持者にもなります。

有事に強い本能型

しかし、状況が変わると人への評価も変わります。有事においては、知略型より本能型のマネージャーの方が重宝されるかもしれません。不透明な時代においては、綺麗な絵を描くことは難しいです。スティーブ・ジョブズイーロン・マスクような天才が未来を予測して、戦略を考え、イノベーションを起こしていくような幻想がありますが、実際には当事者が思いもしない方向に変化し、それに対応できた人や企業が生き残っていくようにも思います。コンテナ物語という、物流革命の変遷を書いた本があります。その本を読むとそんな風に考えてしまいます。

不確実な時代においては、理論的な分析が役に立たず、本能の赴くままに、突っ込んでいける本能型のマネージャーの方が成果をあげるかもしれません。

チーム型

キングダムに登場する将軍の中で実は最強ではないかと私が考えるのは、蒙鷲将軍です。本人は武力が強いわけでも、知略に優れている訳でもありません。遣えた国々で結果が出せず、秦国に拾われて将軍まで登りつめます。この将軍は自身のスペックは低いですが、一つだけ優れている点があります。自分より優秀な人材を発掘し登用する才能です。もちろん本人にも、人としての魅力がないと部下も慕ってくれません。自分の足りない部分を、優秀な他者に頼る、頼れるというのが不確実な時代の最強なマネージャーだと私は考えます。

 

 

 

【マネジメント】変革の鍵は、根本問題への対応

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新年度に向けて、多くの会社では新たな方針が発表され、管理職はその準備で忙しいのでないかと思います。私も準備の真っ只中です。新たな方針は様々でしょうが、変革とかイノベーションのキーワードが踊っている職場もあるかと思います。言うは易し行うは難しです。今日はこの話題について考えてみます。

変革の響きの良さ

企業は存続し続けることが求められます。厳しい環境下、変革し続けられなければ市場からの退場してしまうことになります。だから、変革やイノベーションというキーワードが新年度になると、飛び交うのは当然です。教科書的には。。。うがった見方をすると、今年も来年と同じことやりますと言ったら社員をリードできないという側面もあるかもしれません。毎年、季節の風物詩のように「変革」が踊っている職場は要注意ですね。

変革の語源

変革とは「物事を根本から変えて新しくすること」を指します。「変」の語源を調べてみると、元々、中国の殷の時代に誕生したようです。当時は政を占いで決めていました。その占いで使っていた祭具が「変」の由来になります。その祭具は糸で繋がっている構造になっており、それを壊すというのが漢字の原型になっています。そこから「連続するものを断ち切る、かえる」の意味となったそうです。古代中国、全ての政が占いで決められていた世界。その世界観で神の化身ともいうべき祭具をぶっ壊すというのは、相当な勇気が必要であったと推察します。

一方「革」の語源は古代の鞣し方法であった動物の皮を横に両手でピンと張った時の姿が由来となっており、そこから「たるんで駄目になったものを立て直す」と言う意味を持つようになります。そんなロックな由来を持つのが「変革」な訳ですから、簡単に起こせる訳でもありません。

根本問題に対処する

古代の人々のように、全てをぶっ壊して新しいことを始めるだけであれば、まだやりようはありますが企業ではそうはいきません。これまで継続していたやり方があります。ビジネスモデル的に限界があるのを誰もが理解していますが、まだ完全に機能しないわけではない。むしろまだ、キャッシュを生み出してくれる。顧客や人のしがらみもある。。。これらの根本問題メスを入れていくことなしに、変革やイノベーションに現場は集中できません。そして、この根本問題は大抵は重要度は高くても緊急度は低い場合がほとんどなため、着手されずらい性格もあります。生産性を求められる課長にそこを委ねるのは酷です。部長以上が長期視点でリード出来ないと、変革やイノベーションはスローガンで終わってしまいます。

 

 

【マネジメント】経験の浅い人ほど、自己評価高め

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同僚とランチをしていたら、彼の部下について相談を受けました。能力低いのだが自信過剰な人物だそうで、どのように指導したらいいか困っているとのこと。今日は自信過剰な部下の指導について考えます。

ダニング・クルーガー効果

能力や経験値の低い人が自分の能力を過大評価してしまうことがあります。この認知バイアスをダニング・クルーガー効果といいます。自分自身を客観視出来ない故に、認知の歪みが生じます。こういう部下を持つと上司は厄介です。コミュニケーションが噛み合わないですし、人事評価は荒れます。また、ダニング・クルーガー効果が高い人は、責任を他責に推しづけがちです。周囲のせい、環境のせいにもしがちです。

インポスター症候群

過大評価があれば、過小評価してしまう人もいます。能力があるのに、「偶然だから」「ラッキーだったから」とこちらも、自分を客観視できない状態に落ち入ります。過大評価も過小評価も、その人の成長にはマイナスに作用します。成長には経験から学ぶ必要がありますが、客観視できないと、そもそも自分の成長に適した経験かズレてしまいます。また、他者からのフィードバックを素直に受け入れなくなります。

共に見ながらフィードバックする

過大評価、過小評価しがちな部下に対しては、根気よくフィードバックする他ありません。根気よくフィードバックする他ありません。フィードバックしても行動変容に繋がらないこともあります。教える内容にもよりますが、技能やスキルなどは、それらを利用する場面を映像で録画することがお勧めです。客観的映像を共に見ることで、他責に出来なくなります。

【人材育成】若手の離職防止に効くのは、キャリア安全性

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4月に新入社員研修を担当した企業から、この時期は新入社員フォロー研修のご依頼を頂くことが多いです。すると、すでに何人かはすでに退職しましたとお聞きすることが多いです。企業の人事担当者からは、新入社員の離職防止についてご相談も頂きます。今日は若手社員の離職防止について考えます。

転職は当たり前

最初に入社した会社が相思相愛だったらラッキーですが、なかなか難しいのが実際です。学生も限られた情報の中で就職活動しなくてはいけませんし、企業も全ての情報をオープンにすることは難しいです。配属先の上司や職場風土さ様々ですから。合う合わないは宝くじのようなものです。だから、若くして転職する若手がいるのは仕方ないものです。

ただ以前とちょっと様子が異なるのが、職場環境がちゃんとしていても辞める若手が増えている点です。

 

将来が不安

居心地が良いし、職場の人間関係も良い、給与も平均以上だし、残業も少ない。いわゆるホワイトな職場に務めていても退職を選択する若手がいます。「この職場にいて自分は何者かになれるのだろうか?」「ここを辞めてもやっていける市場価値の高い人材に成長出来るだろうか?」「会社ね看板に頼って仕事する上司や先輩のようになりたくない」

一つの会社で務めあげることは、もはや難しいことは明らかです。当の経団連や多くの大企業のトップも表明しているわけですから。若手はもっと切実に、自分のキャリア開発に不安を感じています。この点を人事部も管理職も気づいていないように見えます。私もその1人でした。

 

心理的安全性だけでは足りない

私も昨年20代の部下を新に担当することになりました。その若手から、初面談で「今の仕事にやり甲斐を感じない。将来の自分のキャリアに不安を感じてる」とあっけらかんと告白されたことに驚きました。その若手が以前所属していた職場も元上司も良い人という評判でした。その若手自身も優秀で将来が楽しみという、周囲からの評価を獲得していました。まさか初めての面談で、そんな独白をされるとは。。。

でも、前述したように彼ら彼女らのキャリア観からすれば当たり前の話です。優秀な人ほど、悩みも多いかもしれません。

求めているのは、キャリア安全性

私が20代の若手を育成する際に意識しているのは、現在の仕事が将来にどのように繋がるかを丁寧に意味付けするようにしています。将来も社内キャリアの文脈ではなく、この会社以外の文脈で語るように意識しています。

現在の仕事が、自分の将来にどのように続いているのかを丁寧に説明します。そのようき下地を整えた上で、ちょっとストレッチした仕事を担当させ、フィードバックを行うサイクルを回すようにしています。

一年回して、やっと本人からも「現在の仕事が面白い」「これまでより成長を感じられている」との感想を聞けるようになりました。

私にとっても、貴重ない気づきを獲得することが出来ました。心理的安全性は昔から、それこそ心理的安全性なんて言葉が誕生する前から大事にしてきました。しかし、キャリア安全性についてはこれまで意識はしてこなかったです。

社内で必要な能力を高めた後に、対外的なキャリアは開発出来るという考え方でした。しかし、若手は対外的なキャリアから逆算しての、キャリア開発を期待します。その辺りの価値観や感覚の違いを、管理職は理解しなくてはいけないように思います。