クマ坊の日記

人材育成とビジネスとサッカーが中心のブログです

【人材育成】耳で理解する人、目で理解する人

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今週は絶賛新入社員研修に登壇中です。研修を担当しながら、受講者を観察していると面白いことに気づきます。人によって耳から聞いて理解するのを得意としている人と、目で見ながら理解するのを得意としている人がいるということです。今日はその事について考えます。

両者の見分け方

両者の見分け方は、それほど難しくありません。研修中に自分の経験談を語っていもらうことがあります。その時に、出来事を時系列に整理して話が出来る人は、耳で理解するのが得意です。一方、目で理解するのが得意な方は、その場面を切り取って説明します。例えば、いきなり「部下からいきなり、雑用をする意味がわからないと言われてびっくりしたよ」みたいに印象の強いシーンから話だします。周囲の聞き手からすると、部下って誰?どんな文脈の話?と分からないことだらけなので、当然質問が飛びます。その質問に答える形でエピソードが浮かび上がってきます。

 

どうやって教えるか

耳で理解するのが得意な人には、ストーリー仕立てで説明するのがポイントです。一方、目で理解する人にはスライドや図解を使いながら説明すると理解度は高まります。気をつけるのは教えても、両方のタイプがいることです。どうしても自分の理解の仕方を是として教えがちです。相手の反応が悪い時は説明の仕方を変えてみるのがいいでしょう。

【人材育成】教え上手な講師の特徴

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私の生業は、企業の人材育成の支援です。イメージしやすいのは、管理職研修や新入社員研修です。講師業と兼務でマネジメントも担当しています。そのため、多くの講師コンサルタントの指導現場を見る機会に恵まれています。今日は教え上手な講師の特徴について考えてみます。

他者からの評価

教え上手な講師とは、お客様から高く評価される人物です。お客様との相性もあるので一概には言えませんが、コンスタントに高い評価を獲得するのは、コミュニケーションに長けている講師です。コミュニケーションが上手いとは、饒舌であるとか、話が面白いとは違います。相手の反応を観察しながら、相手に刺さるワードを選んで相手に届けられる人です。これは研修講師に限らず、教えるのが上手い人の特徴です。

 

大袈裟なフィードバックはしない

研修講師は限られた身近い時間で、受講者と信頼関係を構築しなくてはいけません。その基本は、スモールステップで学習項目を設計し、受講者にやらせて、即時フィードバックすることにあります。フィードバックにもコツがあります。それは安易に大袈裟にフィードバックしないことです。オーバーアクションでポジティブなフィードバックをすることは、一見良いことのようにも言えます。フィードバックされる方も気分あがりますから。ただ安易に大袈裟にポジティブフィードバックする弊害もあります。それは成功が当たり前になると失敗を恐れるようになってしまいます。だから、教え上手はポジティブのフィードバックを節約します。その代わりに行うのが小さな承認です。「OK出来てるよ」で充分です。出来ていなければ、その事を事実を伝えるだけです。寧ろ重要なのは、即座にフィードバックすること。教え上手は、そのタイミングが絶妙です。それが出来るという事は、観察が出来ている証でもあります。

【人材育成】行動が先、信頼は後

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今年も新入社員研修の季節がやってきました。私たち研修講師にとっては、北へ南へ、西へ東へと全国を飛び回りながら新入社員研修を実施する日々が続きます。連戦は体力的に厳しいですが、少しでも若い人のお役に立てればとの一心で頑張っています。ということで今日は新入社員の育成について考えます。

学生から社会人へのトランジション

昔は新入社員研修は儀式的ない意味合いも濃かったように感じます。しかし、現在では学生から社会人への移行(トランジション)を意識して新入社員研修の多くが設計されています。もっともトランジションは簡単に出来るものではありません。ある程度の時間は必要です。小学生から中学生、中学生から高校生、高校生から大学生。歳を取ると忘れがちですが、それぞれのステージに慣れるまでには時間がかかるものです。

また、トランジションを行う課程で、親や先生や友人などの他者からの支援を獲得できるか否かも大事なことです。社会人になるにあたっても、上司や先輩と良好な関係性を構築するのは大切になります。逆もまた然りで、教える側も教えられる側といかに信頼関係を構築できるかが育成の成否に影響します。

 

スモールステップとフィードバック

私たち研修講師も受講者と信頼関係を構築することが極めて大切です。そのためには、学習ゴールを明確にし、ゴールから逆算してスモールステップで課題を設定することが求められます。次にやらせてみて、即時フィードバックを繰り返すことです。名刺交換や電話応対、敬語、仕事の進め方。。。新入社員にとっては全て初めての体験になります。スモールステップとフィードバックを繰り返す課程で信頼関係は深まります。上司や先輩の心意気や熱意だけでは無意味で、具体的な行動を通してこその信頼関係は深まり、人材育成も上手くいくサイクルが回るのです。

【人材育成】育成には時には、ご褒美も必要

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人が成長するには経験が7割だと言われています。そして前回の記事では、熟達化するにはそれなりの時間がかかるとも説明しました。それだけの時間を費やすには、自分の好きなことや得意がことでないと続けられないともお伝えしました。でも、好きでも心折れる時もありますよね。特にレベルが増すに連れ、壁にぶつかって嫌になることもあります。今日はそんな壁にぶつかった時のコツをお伝えします。

失敗が多い時は、スモールステップを意識する

どんなに好きなことであっても、やる気を失うことはあります。何度トライしてもうまくいかない経験を皆さんもお持ちだと思います。人は経験から学ぶので、失敗経験自体は悪いことではありません。しかし、流石に失敗ばかり続くと心が折れるのが普通です。超一流のアスリートは、その壁すらもメンタルの強さで乗り越えてしまうかもしれませんが、そのような人は少数派です。私のような凡人は簡単に心が折れます。失敗が続くと、違う意味で学習してしまいます。「何度やっても私には出来ないんだ」という事を学んでしまいます。そのような事態を回避する上ためには、失敗が続いたら自分がクリアできるレベルまで戻ったり、プロセスを細分化して、挑戦すべきプロセスをスモールステップ化することが重要になります。でも、これは1人では難しい作業です。だから、コーチや講師など必要になります。名コーチと呼ばれる人たちは、教え子に合わせてこのスモールステップを設計できる人であるとも言えます。

 

ご褒美も時には大事

学習をスモールステップに再設計したとしても、学習ゴールに到達するまでには、トレーニングに時間がかかることもあります。そのため、大事なのはトレーニングし続けることです。それがやる気です。本人もサポートするコーチや講師も、何が動機づけに繋がるかを理解しておくことが大切になります。トレーニング中のフィードバックはもちろんですが、トレーニングが長期に渡る場合はそれ以外の働きかけの手段も持っておくと良いです。例えば、私は食べることが好きなので、ご飯やケーキで簡単に動機づけされます。人によって動機の源泉はバラバラです。言葉をかけるにしても、人によって琴線が揺さぶられるワードやタイミングは様々です。教える側は教えられる側を普段からよく観察して、その人物を良く知ることが大切になります。

 

【人材育成】石の上にも三年は正しかった?! 5000時間の法則

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「石の上にも三年」と言う諺がありますよね。三年も座っていれば、冷たい石も暖まるという意味から転じて、成功するには辛抱や忍耐が大切だというものです。この諺ね由来は禅僧の開祖である達磨大師なんて言われたりもします。今日は人の成長について考えます。

 

三年は意外に的を得ていた

「石の上にも三年」の三年は三年間を指すのではなきて、それぐらい長い時間が必要という例えだったそうです。だから三年自体に意味はないと言われています。

しかし、その一方、人の成長を研究する熟達化理論の中では「5000時間仮説」というのが存在しています。この仮説では、どんな人でも5000時間ひとつのことを練習すれば熟達化するというものです。ピアノでも、スキーでも、ゲームでも。この5000時間の長さが絶妙で、毎日5時間練習すると3年間で5000時間に到達します。諺を伝えてきた昔の人も肌感で感じていたのかもしれませんね。

 

一流は10年

熟達化の研究ではもう一つ重要な仮説があります。どの分野でも一流になるには10年かかるという仮説です。心理学者のアンダース・エリクソン先生が実証実験によって提唱されました。これは私たちの経験則と照らし合わせてみても納得できると思います。

 

迷わず行けよ

5000時間も10年も長い時間です。忍耐強くや辛抱だけでは到達できません。好きとか、得意とか継続できる何かがないと続けられません。それらは全て自分の中にしかないわけです。自分自身を知ることが熟達化の第一歩です。

例え道がなかったとしても、自分の心に従い、迷わず歩き続けられた人が、成長できるように思います。

アントニオ猪木さんも言っていました。「この道をゆけばどうなるものか、危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし、踏み出せばその一足が道となる。迷わず行けよ 行けば分かるさ」