クマ坊の日記

人材育成と本とサッカーが中心のブログです

獅子は我が子を千尋の谷につき落とすのは正しいのか?

営業が強い会社や、中小企業のメーカーに伺うと、「うちの新人育成はスパルタですから」「だって、獅子は我が子を千尋の谷につき落とす」というじゃないですかと得意げに語られる経営幹部に出会うことがあります。獅子は我が子を千尋の谷に突き落とすの意味は、獅子が自分の子供を谷に突き落とし這い上がってきた生命力がある子供を育てる。自分の子に敢えて厳しい試練を与えて乗り越えさせるという訓話です。アニメ、巨人の星で広まったんですかね。元々は中国の説話らしいです。そもそも、ここでいう獅子とは想像上の生物であり、ライオンではありません。ちなみにライオンは子ライオンが崖に落ちたら、すぐに助けに行くそうです。

 

では、なんでこんな言説がいまも普通にビジネスの現場で語られるのでしょうか?私が伺っている企業は決してブラック企業と言われる企業ではないのに。

 

まずは、50代以上のビジネスパーソンは普通にそのような環境で育ってきたという経験則があります。上司、先輩から丁寧な指導も受けずに実践投入。武器も持たずに現場で格闘しながらスキルを獲得していく。上司や先輩の背中を見ながら、時にはスキルを見て盗みながら身につけけていくという成長の仕方は普通でした。昔は時間的にも余裕があったため、人の成長も長期視点がありました。また、仕事の失敗にも寛容であった時代だから、谷に落としても成長できました。だからそのような成長体験を持つ偉い人は、部下を若い時に敢えて千尋の谷に突き落とすことが大切だと真顔で力説するのです。

 

人の成長は現場での経験が7割と、ブログの記事で書きました。専門用語だと「経験学習理論」と言われて

います。この経験学習理論では、経験が大切。特にストレッチした経験が有効だと言われています。このストレッチが曲者です。優秀な管理職は部下の力を良く見極めることで、その部下にとってどのあたりがストレッチな経験になるかを設定するのが上手です。言い換えれば千尋の谷がどんな経験であるかを理解しています。そして、千尋の谷に突き落としても、必ずフォローしたり助け船を出してくれます。だから、部下を千尋の谷に落として育成できるのは優秀な管理職のみです。

 

だいたい、自分の子供を谷に落とす親っていないでしょう。他人だから突き落としても平気なんでしょうね。だから、部下育成で獅子は我が子を千尋の谷に突き落とすを話す人はあまり信用しません。

 

もし、新人がこのような管理職を上司に持ってしまったらどうすればいいのでしょうか?まずは助けが来ないこと前提に、自分から助けを求めるしかありません。上司でも、先輩でも、他部門の人でも構わないので分からないことは質問するしかありません。大切なことはメモすること。しっかり挨拶すること。お礼も含めて。ジタバタしていれば、きっと助けてくれる人がいます。

 

育成は誰もが、自分なりの成功体験を持っているから厄介です。育成する側も、育成されるがわも「これで本当に部下は育つだろうか?」「自分は成長できてるだろいか?」と振り返ることが重要だと思います。同じ職業に就いていても、10人いれば、10人それぞれ成長の仕方は違いますからね。