クマ坊の日記

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何でもかんでも経験学習理論

企業の人材育成担当者の間でこの10年間、猛威を振るっている理論があります。それが今日ご紹介する「経験学習理論」です。経験学習理論とは、凄くざっくり解説すると「偉い先生から一方的にありがたい話を聞いても人は成長しないよ。人は現場で実践して、行為を振り返ることで成長するんだぜ」という理論です。

 

その理論のポイントは2点。①経験すること実践することが大切 ②経験を振り返ることも大切。振り返りを内省とか省察とワードを使う場合もあります。

 

 

経験と教育 (講談社学術文庫)

経験と教育 (講談社学術文庫)

 

 

元々は、ジョンデューイという偉い学者さんが唱えました。「人が育つのは教室じゃない、現場なんだー」かなり乱暴な表現で理論をまとめてしまいました。デューイ先生御免なさい。

 

デューイ先生が唱えた理論を実務家が適用できるように、より単純化した理論に仕立てあげたのが、デイビッドコルブ先生。その理論とは、①具体的経験 ②内省的省察③抽象的概念化 ④積極的実践。①から④を順番に回すことで人は成長するというものです。

 

 

同時代にドナルドショーン先生が「省察的実践家」という本をだしました。これも経験学習理論に大きな影響を与えました。建築士とか専門家がどのように仕事をしていくかを観察したものです。専門家は専門的な知識を当てはめるのではなく、一見同じように見える現場を観察しながら、実践と省察(振り返り)ながら匠の技を発揮しているというものです。 

省察的実践とは何か―プロフェッショナルの行為と思考

省察的実践とは何か―プロフェッショナルの行為と思考

 

 

上記なような理論を背景に企業内教育が計画されることが増えています。現場の経験を通して成長するというのは、ビジネスパーソンの個人的な経験、感覚とも親和性が高いから支持されているのだと思います。

 

ただ問題なのは、何でもかんでも「経験学習理論」と結びつけてしまう教育が増えていることです。例えば、新人に「経験すること振り返ることを」強調する企業があります。でも、考えてみてください。バックボーンとなる知識やスキルなしに経験しても、得られる教訓はたかが知れています。同じ経験しても、伸びる人と伸びない人がいるのはそんな理由もあります。

 

結局、人の成長にウルトラCはありません。経験することも、知識を学ぶことことも、スキルを獲得することも、振り返ることもバランスよくやらないとダメなんだと私は考えます。